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ゴミ屋敷の片付けが遅れるリスクとその影響

ゴミ屋敷の片付けを自分でできる人ばかりではありません。なかには、頼れる家族や友人がおらずゴミ屋敷を放置してしまっている人もいるのではないでしょうか。ゴミ屋敷を放置したときに、さまざまなリスクが考えられます。

健康被害だけに限らず、火災のリスクやご近所トラブルに発展する可能性もあります。ゴミ屋敷を放置したときに起こりうるリスクについて、詳しく紹介していきたいと思います。

ゴミ屋敷の基準とは

一口でゴミ屋敷といってもイメージできない人もいるのではないでしょうか。
散らかった部屋を見て「まだ大丈夫」と思っている人もいるかもしれません。
ゴミ屋敷の判断基準の一つの目安として環境省環境再生「資源循環局」にて行われた調査では、下記のような基準に当てはまる場合は自治体でゴミ屋敷と認知するとしています。

・はえやゴキブリなどの害獣が発生している
・地域の環境美観を損ねている
・空き缶、吸い殻などゴミが散乱している
・防災や防犯に支障が生じる可能性がある

これらの状態が放置されている場合、自治体も危険性を感じ指導の対象となることがあります。このまま放置していることで、近隣住宅とのトラブルの可能性も考えられます。

家のなか全体がゴミ屋敷化しているケースもあれば、特定の部屋のみゴミ屋敷になっている可能性も考えられます。ゴミの量はもちろんですが、衛生面やトイレやお風呂などの水回りを使っているかどうか、足の踏み場があるのかなど総合的に判断する必要があります。

すでに自分では片付けが難しくなっている場合は、ゴミ屋敷として片付けが必要です。

ゴミ屋敷の片付けが遅れると考えられるリスク

ゴミ屋敷を片づけるのは、簡単なことではありません。プロの業者であっても、複数人の大人が片づけないととてもじゃないけど終わらなくなってしまいます。そのため、つい後回しにしてしまうこともあるでしょう。

ゴミ屋敷の片付けが遅れるとどのようなリスクが考えられるのか、主に以下のようなものがあります。

1. 発火するリスク
2. 災害時に逃げ遅れるリスク
3. 害虫や害獣が発生するリスク
4. 近所からクレームを受けるリスク
5. ゴミ屋敷による健康被害のリスク
6. 家屋の資産価値が下がるリスク
7. 片付けの費用が増えてしまうリスク
8. ケガをするリスク

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

1. 発火するリスク

ゴミ屋敷を放置することで、火災のリスクを高めてしまう可能性があります。近年、空気の乾燥による火災も多発しており、コンセント周辺にホコリが積もっている(トラッキング現象)ことも大きなリスクとして考えられています。ゴミ屋敷の場合、積み重なったゴミのなかで発火してしまい、周囲にあるゴミを介して火が大きくなっていくことが考えられます。

ゴミが積み重なっていくことで命の危険性も出てきてしまいます。また、タバコを吸う人は、火の不始末から発火する可能性もあります。命に影響することはもちろんですが、賃貸に住んでいる場合、ゴミ屋敷が重大な過失として見なされてしまい、賠償責任のリスクも出てきます。発火は大きなリスクになる可能性も考えられることも覚えておきましょう。

2. 災害時に逃げ遅れるリスク

ゴミ屋敷の状態では、災害時に逃げ遅れてしまうリスクも考えられます。足の踏み場もない状態では思うように動けなくなったり、ゴミが邪魔をして扉が開かない可能性もあります。積み上げたゴミが落ちてくる可能性もあり、移動がスムーズにできなくなり逃げ遅れてしまう可能性も出てくるかもしれません。

動線を確保してスムーズに避難できる状態にしておくことも、リスクを下げることに繋がります。災害はいつ起こるかわからないからこそ、ゴミ屋敷がいかにリスクになるのかがわかると思います。

3. 害虫や害獣が発生するリスク

ゴミ屋敷のなかで散らかっているゴミのなかには、生ごみや食べ残しなどゴキブリやハエの餌になるものも多くあります。また、害虫が増えると餌に寄ってくるネズミなどの害獣も発生する可能性も出てきます。

一度住み着いてしまうと出ていかなくなってしまい、繁殖し数が増えてしまうこともあります。不衛生さはもちろんですが、病原菌を持ち込まれるリスクも考えられます。なかには、害虫や害獣が発生したことで余計に触れなくなってしまい、ゴミ屋敷化が進んでしまうケースもあります。

4. 近所からクレームを受けるリスク

ゴミ屋敷のなかには、悪臭の発生源となってしまいトラブルに繋がる可能性もあります。きちんと片づけている近隣住民にとっては迷惑行為でしかなく、法的な問題に発展してしまうことも考えられます。

近隣住宅よりクレームが自治体に入ると、ゴミ屋敷の現場確認が行われるようになります。立ち入り調査の対象とみなされると、家の所有者に支援や指導(勧告)が行われるようになり改善されない場合は、氏名が公表され行政執行の対象になります

5. ゴミ屋敷による健康被害のリスク

ゴミが散乱している状態だと不衛生な状態になり、細菌やウイルスの温床となってしまうことも少なくありません。また、ゴミによって閉じ込められた湿気が原因でカビを発生させ、吸い込むことで健康被害のリスクが出てきます。

有害物質が空気中に放出されることによって、アレルギー反応や呼吸器系の反応を引き起こす原因となることもあります。他にも、害虫や害獣が媒介している病気に感染するリスクも出てきます。特にご高齢の方は、免疫力も低下しているため、健康を損なう心配も大きくなります。

6. 家屋の資産価値が下がるリスク

家の中がゴミだらけになってしまうと、不動産の資産価値に大きく影響してしまう場合も考えられます。時間が経過すれば劣化が進んでいきますし、将来的に売却しようとした場合に、資産価値が下がり買い手が見つからなくなってしまうこともあります。

また、周囲に影響を与えるようなゴミ屋敷があると、周辺の建物や土地の価値も下がってしまいます。当事者だけの問題ではなく、関係のない住民にも迷惑をかけることになるため早めの対処が必要になってきます。

7. 片付けの費用が増えてしまうリスク

ゴミ屋敷の状態が長期化することで、片付け(掃除)費用が増加してしまいます。ゴミから悪臭や害獣や害虫が湧きやすくなってしまい、専門の業者に依頼しないと片付けができなくなってしまうこともあります。

生活していればゴミの量も増えていくため、処理にかかる労力やコストが増えてしまう可能性があるのです。自分で片付けが難しい高齢の方の場合、放置することで大きなリスクになってしまいます。

8. ケガをするリスク

ゴミ屋敷には、割れたガラスがそのままになっていたり、古い家具から釘が出たままになっていることもあります。管理が出来ていない=触るとケガをしてしまうような状態になっている可能性も十分に考えられます。

先端が尖っているものを踏んでしまい出血したり、傷口から黴菌が入ってしまうこともあります。また、ゴミが敷き詰められ足場が悪い状態だと、ケガや転倒のリスクも出てきます。実際にゴミ屋敷に住んでいて孤独死した人に多いのが、転倒やケガによるものだといわれています。

ゴミ屋敷による怖い影響

ゴミ屋敷をそのままにしていることで、さまざまな影響が考えられます。
長期化すればするほど、状況が悪くなってしまうこともあります。

・心身ともに疲弊してしまう
・ストレスを感じやすくなる
・ハウスダストによるアレルギー反応などの疾患
・人付き合いがなくなる(できなくなる)
・行政代執行により多額の費用がかかることもある

具体的にどのような影響が考えられるか詳しく見ていきましょう。

心身ともに疲弊してしまう

ゴミ屋敷の状態のまま生活していると、心身ともに大きな負担となり疲弊してしまいます。ゴミ屋敷の程度が軽度であっても、物やゴミが散乱している状態になるため十分な休息がとれなくなります。

一時的なものであればそこまで心配はありませんが、疲弊している状態が続いてしまいます。気持ちにも余裕がなくなりますし、ストレスが発散できない状態になってしまいます。また、ゴミ屋敷に住み続けることで、片づけられない自分を責めてしまい前向きな気持ちに慣れなくなってしまう可能性もあるでしょう。

ストレスを感じやすくなる

ゴミ屋敷の原因にも、日々の仕事やストレスの疲労が関係しています。ストレスを強く感じる状態が続くと、自分に無関心になってしまい必要な生活習慣が継続できなくなってしまいます。その結果、セルフネグレクトになり、食事や仕事に対してやる気がなくなります。

ゴミの処理ができなくなってしまい、より溜め込んでしまうこともあります。ゴミ屋敷に住んでいることで、症状を悪化させてしまうこともあります。

ハウスダストによるアレルギー反応などの疾患

ゴミ屋敷で長期的に掃除をしていない状態が続くと、ホコリやカビ、虫の死がいなどハウスダストが蓄積してしまいます。ハウスダストはアレルギーの原因となるため、さまざまな病気のリスクを高めてしまう可能性があります。

アレルギー性鼻炎や気管支炎、気管支喘息やアトピー性皮膚炎などのリスクを高めてしまうといわれています。ハウスダストによるアレルギー反応は、根本から改善しないと何度も繰り返すようになってしまいます。

人付き合いがなくなる(できなくなる)

ゴミ屋敷の状態が続くと、人付き合いがうまくできなくなり距離をとるようになってしまいます。家族とも距離ができてしまいコミュニケーションが少なくなりますし、実家であれば子どもが寄り付かなくなってしまうことも考えられます。

また口論など言い争いの頻度も増えてしまい、次第に孤立してしまうことも少なくありません。そもそもゴミ屋敷になってしまう人のなかには、認知症(若年性認知症)やうつ病、双極性障害、統合失調症などの精神疾患を抱えている人もいるため、人付き合いができなくなってしまいます。

また、「悪臭が漂っているのでは…」と考え、ご近所さんとの距離もできてしまうのです。

行政代執行により多額の費用がかかることもある

ゴミ屋敷を放置し重度の状態になると行政代執行になる可能性も考えられます。ゴミ屋敷に関して自治体から指導や注意勧告をうけているものの、長期的に無視をしてしまう人もいます。

その場合、悪質だとみなされ行政代執行が行われ、数百万円単位の請求を支払うことになる場合もあります。家主にとっても大きな負担になるため、自治体からの指導を受けたときは、そのままにしないように向き合っていくようにしましょう。

ゴミ屋敷は自分で片づけられる?

ゴミ屋敷を自分で片づけたいと考えている人もいるのではないでしょうか。
業者に依頼する前に、まずは自分で片づけるときのポイントを紹介します。

・準備は必須だが片づけることも可能
・作業前日に害虫駆除をしておく
・仕分け作業がやや大変
・自分で片づけると費用も安くマイペースにできる
・どうしても難しいときは業者に依頼する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

準備は必須だが片づけることも可能

ゴミ屋敷の程度によっては、事前準備を行うことで自力で片づけることも可能です。例えば、ゴミの収集スケジュールをインターネットで確認するのはもちろん、家具・家電などの粗大ごみの回収予約についても調べておきましょう。

自治体によっても回収日ややり方に違いがあります。他に掃除に必要になる道具も一緒に用意しておき、スムーズに片付けを進められるようにしておきましょう。掃除機やゴミ袋の準備、洗剤、ハンディワイパーなども含め必要なものをそろえておきましょう。

また、一緒に片付けをしてくれる人がいれば声をかけ、集めるようにしておくことも大切です。

作業前日に害虫駆除をしておく

ゴミ屋敷を片付ける前に、まずは害虫・害獣駆除を行うことが大切です。ゴミを集めるときにゴキブリやハエなどがいる場合、作業が思うように進まなくなってしまいます。ゴミを動かすまでどの程度害虫がいるのかわからない場合もあります。

前日にスプレータイプの駆除剤などを使い、少しでも減らせるようにしておきましょう。また、当日の片付けのときに害虫が出てくることもあるので、殺虫剤を用意しておくと安心です。

仕分け作業がやや大変

ゴミ屋敷の片付けのなかで、一番大変なのがゴミの仕分け作業です。使っている物と使わない物(処分してもいいもの)で分けられないようなものがでてくることも少なくありません。捨てるのが苦手な人も多いので、1年を目安に使っていないものは処分するようにしていきましょう。

1年使っていないものは、2年・3年と保管してもそのままゴミになってしまう可能性の高いものです。処分するかどうか迷ったときは、保管用の段ボールを用意しておき、あとで仕分けができるようにしておきましょう。

その場で決められずに悩む時間が多いと片付けが終わらなくなってしまうため、あとから仕分けを進められるようにしましょう。

自分で片づけると費用も安くマイペースにできる

ゴミ屋敷を自分で片づける場合、費用も安く抑えられますし自分のペースで片づけられるようになります。自分で掃除をするためにも雑巾やほうき、アルコール、手袋などの備品をそろえる費用はかかりますが、日頃から自宅にあるものが多いのでそこまで負担になりません。

ゴミ袋は多めの枚数を用意しておき、ゴミをスムーズに処分できるようにしておきましょう。見た目以上にまとめたときのゴミ袋の数も多くなる場合が多いでしょう。

どうしても難しいときは業者に依頼する

自分で片付けてみて難しいと感じたときや、思っている以上にゴミの量が多いときはプロの業者に依頼するのをおすすめします。片付けてみないとわからないことも多く、困難に感じることもあるでしょう。

業者は専門的な知識や技術を持っているため、迅速にゴミ屋敷を片づけることができます。業者を選ぶ時は、本当に信頼できるかどうか、料金は相場にみあったものかどうかを確認するようにしましょう。確実に片づけたいと思っているのであれば、自力だけでなく、業者に依頼することも検討してみてください。

まとめ

ゴミ屋敷に住んでいる人のなかには「まだ大丈夫」だと思ってしまい、片付けに向き合えなくなってしまう人も少なくありません。散らかった家のなかで過ごしていると麻痺してしまう人も多く、リスクが多いことに気付けなくなってしまいます。

そのため、足の踏み場がなかったり、ゴミが散乱している状態であれば片付けを前向きに考えてみてください。一度に終わらせようとせず、1部屋ごと片付けてもいいと思います。ゴミ屋敷に住み続けることで健康被害やケガのリスク、災害時にも危険が及ぶことが考えられます。

早めに片付けを進めていけるようにしましょう。

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この記事の監修者:編集部:三島

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