ゴミ屋敷の片付けに補助金は使える?支援制度と相談先は?
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親族の家がゴミ屋敷になってしまったとき、特に悩ましいのが片付けにかかる高額な費用です。業者に依頼すれば、状況によっては数十万円〜100万円近くかかることもあり、「公的な補助金や支援制度が使えないか」と調べ始める方も多いでしょう。
この記事では、以下のポイントを中心に、ゴミ屋敷の片付けに使える制度やかかる費用をわかりやすく解説していきます。
- ゴミ屋敷の家族が取るべき行動
- ゴミ屋敷の片づけに補助金は使えるのか
- 活用できる公的支援制度・行政のサポート
目次
ゴミ屋敷の片付けに使える補助金はある?
「ゴミ屋敷の片付け」そのものを対象とした国の補助金制度は現時点では存在しません。(2025年6月現在)多くの場合、片付け費用は自己負担となり、内容によっては数十万円以上かかるケースもあります。
ゴミ屋敷の片付けに使える支援制度一覧
ゴミ屋敷の片付けに使える国の補助金はありませんが、状況によっては公的な支援を受けられる場合があります。代表的な制度を以下に紹介します。
支援制度名 |
対象となるケース |
主な支援内容 |
自治体の条例(ごみ屋敷対策) |
条例がある市区町村で、近隣に悪影響が出ている場合 |
行政からの助言・命令・代執行(※費用は原則本人負担) |
生活保護(住宅扶助など) |
生活保護受給者または受給対象で、居住環境に問題がある場合 |
清掃費用が扶助対象となることがある(要判断) |
地域包括支援センター(高齢者) |
65歳以上で片付けが困難な高齢者 |
必要に応じて介護保険・生活援助などを調整(直接清掃は対象外) |
障害福祉サービス・保健所 |
精神疾患や発達障害があり片付けが困難な場合 |
診断・申請後に、訪問支援や福祉サービスの利用が可能に |
成年後見制度 |
認知症等で判断力が低下している場合 |
後見人が財産管理や清掃の契約を代行できるようになる |
参考:横須賀市
参考:横浜市
参考:東京都福祉保健局
参考:厚生労働省
多くの制度は、本人の同意や生活への支障があることが前提です。家族だけで直接制度を利用することはできませんが、行政への相談や申請のきっかけ作りは可能です。
まずは、福祉課や地域包括支援センターなどの公的窓口に早めに相談することが大切です。ゴミ屋敷の問題に対し、独自の条例を制定したり、福祉部門と連携した支援体制を整えたりしている自治体もあります。
ただし、こうした条例を持つ自治体は一部に限られ、対応内容や制度の有無は地域によって大きく異なります。行政の対応は、指導・勧告・行政代執行(強制的なごみ撤去)といった措置だけでなく、福祉的支援との連携による段階的な対応が基本。家族が直接制度を使えるわけではありませんが、相談のきっかけづくりや申請のサポート役として重要な役割を担います。
主な自治体の取り組み事例
自治体名 |
主な対応内容 |
補足 |
東京都足立区 |
条例に基づき、指導・命令・代執行が可能 |
費用は原則本人負担だが、生活困窮者には相談制度あり |
東京都墨田区 |
条例に基づき、実態調査→勧告・命令・代執行まで実施 |
福祉・保健職と連携し、支援優先で対応 |
大阪府大阪市 |
条例は未制定。福祉課や保健福祉センターが支援 |
高齢・困窮者を中心に、福祉的な支援で対応(区により差あり) |
愛知県名古屋市 |
保健所が中心。衛生指導と福祉連携で対応 |
条例による強制措置なし。支援と説得が基本 |
参考:東京都足立区
参考:東京都墨田区
参考:大阪府大阪市
参考:愛知県名古屋市
対応は自治体ごとに異なるため、まずは窓口への相談が必要です。多くは支援を優先しますが、悪臭や火災の危険があれば命令や代執行もあり得ます。家族は制度の対象外ですが、相談のきっかけとして重要な役割を担います。
支援が活用された成功事例
ゴミ屋敷の問題は、家族の相談をきっかけに、行政や支援機関を通じて改善につながるケースがあります。
事例1:高齢の母が暮らす実家のゴミ屋敷
項目 |
内容 |
背景 |
久々に帰省した娘が、実家がゴミと異臭であふれているのを発見 |
課題 |
母親は80代で軽度認知症。片付けの自覚・行動が困難 |
対応 |
地域包括支援センターに相談。介護認定→ケアマネ配置。清掃業者の紹介や訪問介護サービスを調整 |
結果 |
環境が改善し、母の生活意欲も回復。家族の負担も軽減 |
※地域包括支援センターでは、家族からの相談も受け付けています。介護保険の活用には要介護認定が必要です。
事例2:精神疾患のある兄の部屋がゴミ屋敷化
項目 |
内容 |
背景 |
精神疾患のある兄が孤立し、アパートがゴミ屋敷化。近隣から苦情 |
課題 |
本人は支援を拒否。弟の説得も難航 |
対応 |
保健所に相談。保健師・精神保健福祉士が訪問。信頼関係を築き、障害福祉サービスへつなぐ |
結果 |
支援事業所と連携し、生活訓練の一環で片付けを実施。本人の生活意識が前向きになり、地域との関係も改善 |
ゴミ屋敷片付け業者に依頼する場合
支援制度が使えない場合や、緊急で片付けが必要なときは、民間の清掃業者への依頼が現実的な選択肢になります。以下、片付け・清掃費用の相場です。
間取り |
費用目安 |
備考 |
1K |
約3万〜10万円 |
ゴミの量や状態で変動。消臭や害虫対策があると加算 |
1LDK〜2DK |
約10万〜30万円 |
家財量により作業人数増 |
一軒家(3LDK〜) |
約30万〜100万円以上 |
部屋数や庭・倉庫等の有無で高額になることも |
ゴミ屋敷の片付け費用は、ゴミの量や状態によって大きく変わります。軽度であれば数万円で済みますが、重度になると数十万円、場合によっては100万円以上かかることもあります。
費用に影響する主な要因は、トラックの台数や大きさ、作業人数、生ゴミや粗大ゴミの有無、さらにはオプションの有無(消臭・清掃・害虫駆除など)です。こうした要素が増えるほど費用も高額に。特に一軒家や広い間取りでは高額になりやすいため、早めの対応が求められます。
費用には、以下のような作業が含まれるのが一般的です。
- 作業人件費(人数・作業時間により変動)
- ゴミの分別・梱包(可燃、不燃、粗大ごみなど)
- 車両・運搬費(台数や移動距離による)
- 廃棄物の処理費(自治体または許可業者経由)
- 特殊清掃費(消臭、害虫駆除など。必要時のみ)
以下の点を確認して片付け業者を選びます。
- 見積もりが書面で明確に提示されるか
- 一般廃棄物収集運搬の許可があるか
- 自治体や福祉機関との連携実績があるか
- 除菌や簡易清掃などの対応があるか
- 分割払いやカードなど柔軟な支払いに対応しているか
以下のような悪質業者はご注意ください。
- 作業後に見積もり以上の高額請求をする
- 一般ごみを不法投棄する(法律違反)
- 「補助金が使える」と誤った説明で契約を迫る
まず複数社から見積もりを取り、契約書・許可証・処理方法を確認します。「料金が極端に安い」「契約が口頭だけ」という業者は避けてください。
ゴミ屋敷片付けの公的窓口は?
「どこに相談すればいいかわからない」という声は多くあります。ゴミ屋敷の背景には福祉・医療・衛生など複数の要因が関わるため、まずは適切な窓口に相談し、必要に応じて他機関につないでもらうのが基本です。
主な相談窓口(目的別)
窓口名 |
相談内容 |
福祉課・生活支援課 |
高齢・障害・生活困窮者への福祉的支援。まずは市役所代表番号から相談 |
地域包括支援センター |
65歳以上の高齢者が対象。訪問・介護申請・支援調整など |
保健所・精神保健福祉センター |
精神疾患や発達障害が疑われる場合の医療・福祉支援。本人の同意が必要 |
環境衛生課・生活環境課 |
ゴミ屋敷が近隣に影響している場合の助言・条例対応(条例のある自治体のみ) |
成年後見制度の窓口 |
認知症などで判断力が低下した人への法的支援(家庭裁判所へ申立て) |
社会福祉協議会 |
生活福祉資金の貸付や地域支援との連携(清掃費は対象外のことが多い) |
相談時のコツは以下の通りです。
- 複雑なケースでも他機関と連携されるため安心して相談を
- 状況を伝えやすくするため、部屋の写真や簡単なメモがあると効果的
- 「本人が嫌がっている」と正直に話してOK。ただし支援には原則、本人の同意が必要
どこに相談すべきか迷ったら、まずは市区町村の福祉課に連絡をしましょう。状況に応じて、包括支援センターや保健所など適切な窓口に引き継いでもらえます。
ゴミ屋敷化を防ぐチェックリスト
ゴミ屋敷は、気づかないうちに少しずつ進行していくものです。生活リズムの乱れや社会的な孤立などが背景にあることが多く、本人がその変化に気づきにくい場合も少なくありません。
そのため、家族や身近な人が早めに異変に気づき、サポートすることが大切です。こんな兆候があったら要注意です。
チェック項目 |
背景・リスクの例 |
郵便物がポストに溜まっている |
外出や日常生活の管理が困難に。うつや引きこもりの可能性 |
同じ服を何日も着ている |
身だしなみや清潔感への意識低下 |
部屋から異臭、ゴミを捨てない |
掃除や片付けの気力・体力が落ちている |
訪問を嫌がり誰も家に入れない |
部屋を見られたくないという心理的サイン |
連絡がとれず返信がない |
孤立や認知機能の変化、精神的ストレスが疑われる |
家賃・光熱費が滞納している |
金銭管理の困難や経済的困窮の可能性。支援対象になり得る |
まとめ
ゴミ屋敷化の背景には、高齢・病気・障害・孤立・経済的困難などがあり、誰の身にも起こり得ます。家族の家がゴミ屋敷になってしまったとき、自分だけで解決しようとせず、行政などの支援の手を借りましょう。
本人が非協力的でも、家族から福祉課や地域包括支援センターに相談できます。支援には本人の同意が必要な場面もありますが、まず相談することで状況が動き始めます。家族ができる現実的なアクションは以下のとおりです。
アクション |
補足ポイント |
支援制度の確認 |
自治体によっては、生活保護や障害・高齢者福祉制度で清掃費が補助される場合も(事前に要確認) |
福祉課や包括支援センターへ相談 |
状況が複雑でも、関係機関と連携して対応。家族からの相談も可能 |
衝突せず支援体制を整える |
責めるより「心配している」という姿勢が信頼の第一歩 |
清掃業者への依頼も検討 |
緊急時や制度の対象外の場合、見積もり・許可確認のうえで業者に依頼 |
早期発見・相談を心がける |
状態が悪化する前に動けば、負担や費用を大きく減らせる |
ゴミ屋敷問題は、「どんな支援があるか」を知っているだけで、対応の選択肢が広がります。一人で抱え込まず、まずは相談してください。
この記事の監修者:編集部:三島

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